S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
このあたりの店がよくわからないので、この前、三堂さんが連れて行ってくれた店を予約した。
槙野さんへの連絡は如月さんがしてくれて、私はほっとする。
それから、要さんに、今日は食事を食べて帰ることだけをメールで伝えて、店に向かった。
3人でワインで乾杯して、一口飲むなり、
「久しぶり、ね?」
と槙野さんは私に向かって言う。「七瀬さんが高校生くらいの時だったでしょ。電車の改札で」
私は心底驚いた。
けど、それが嬉しくもあった。
「はい。あの時のこと、覚えてらしたんですか……」
「うん。私、いくら昔のことだって、かわいい子のことはよく覚えてるのよ」
「そんな……」
私は手を胸の前で横に振る。
それからまっすぐ槙野さんを見ると頭を下げた。
「お礼が遅くなってしまってすみません。あの時は……本当にありがとうございました」