Ｓ系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい～お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで～

　要さんはクスリと笑うと、私の髪を撫でる。

「……それで？　気になってくれたんだ」

　それからわざと目を合わせてきた。
　楽しむような要さんの雰囲気を感じて、私は思わずむっとしてしまう。

「き、気になんてなってません！　そ、そういうことが大人の男女にとって普通のことなら、私は……」

　そう言って、言葉に詰まる。
　それが普通なら、私はそれをいいよって笑って許せるのだろうか。

　自分は、そういうことの知ってるレベルが低くて、要さんの相手にもなっていなさそうなのに。

「ふうん」

　要さんは楽しそうに目を細めて笑っている。

（な、なによ……！　なんなのよ！）

　なんだか、情けなさと、恥ずかしさと、色々な感情がこみあげてくる。

　ちゃんとそういうことを私に毎日教えるって言ったのは要さんじゃない。
　だから他の人には聞くなって。

　だから、私が知らないことが多いって言うのは、要さんの教え方も悪いんじゃないの？

　なんて、責任転嫁するような思考まで出てくるから不思議だ。まるで始めてきた反抗期のようだ。