S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
17章:我慢
―――次の日。
今日は終日会議で要さんは席にいなかった。
空席の部長席を尻目に、私はもくもくと仕事をこなしていく。
童顔とか、形にこだわるのはもうやめた。
私は、槙野さんみたいになりたいけど、どうやっても槙野さんと同じにはなれないんだから……。
定時を過ぎたところで、パソコンを閉じる。
お疲れ様です、と周りに伝え人事部を出ると、追いかけるように如月さんがエレベータを待つ私の隣に立った。
チラチラと私を見ている如月さんに首を傾げて口を開く。
「何ですか?」
「いやー、えっと。途中まで送ってく」
「結構です」
きっぱり断って、ついたエレベータに乗り込んで一階のボタンを押す。
如月さんも入ってきて、二人、無言で一階まで乗っていた。