S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 一階に着いて、お疲れ様です、と如月さんに告げて社外に出て歩いていると、また如月さんが追ってきていた。数分歩いたところで、私は振り返る。

「さすがに、ストーカーになりますよ?」

 思わず私が言うと、如月さんは言葉に詰まった。

 しかし、その如月さんの後ろ、ひときわ目立つ美男美女がそこに立っていることに気づいてしまった。

「……二人」

 私は思わずつぶやく。
 如月さんも私の様子を見て、振り返った。

 そこにいたのは、要さんと槙野さんだった。
 二人、楽しそうに笑っている。それだけでも十分絵になる二人だった。


 如月さんが小さく咳払いをする。

「今更ショック受けることでもないだろ。あの二人、まだ付き合ってるんじゃん?」

 そう見える……というかそうにしか見えない距離感。

 私はぐっと息が詰まっていたことに気づいた。
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