S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
 私は唇を噛んで、顔をあげた。

「でも、私は部長が好きなんです。部長のためなら何だってしたい。もうそれがわかったから誰かほかの人に、なんて気持ち、一ミリも湧かないんです」

 そうだ。
 私は要さんが好き。それは要さんにどんな過去があっても、要さんがこの先他の誰かを好きになっても、変わらない事実だろう。

 要さんのために私はできることをしたい。
 そんな私を見て、如月さんは呆れたように息を吐いた。

「俺なら泣かせないのに」
「将来泣かされてたとしても、私は部長がいいんです」

 それは心からの言葉だった。
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