S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 私は、自分の手をぎゅうっと握ってまっすぐ要さんを見る。

「あの……!」
「うん?」
「は、早く食べましょう……」

 如月さんは、私のこと、意思がはっきりしてるなんて言ってくれたけど、私は要さんの前ではぐらぐらと揺れてしまう小さな人間だ。

 なんではっきり聞けないんだろうって、自分で自分が情けなくなる。

 不安で、揺れて……人を好きになることがこんなに苦しい事だって思いもしなかった。
 ただ、楽しくて、嬉しくて、キラキラしただけのものだと思っていたから。

(やっぱり、最後までしてないからそう思うのかなぁ……)

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