S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
18章:遭遇
―――それから次の日も、その次の日も、要さんは不思議と私の唇にキスはせず、額にキスをするだけ。しかも触れることもない。
たった三日。
たった三日なのに、要さんにちゃんとキスされて、触れられていないだけで、私はおかしくなりそうなくらい悶々としていた。
その上、会社でも要さんはいつもデスクにいないのに、たまに社内で見かけると、槙野さんと話してるところに出くわすし……。
案の上、今日もそんな場面を見つけてしまった。
会社社屋内では、フロアごとには小さな打ち合わせ室しかなく、大きな会議室があるフロアが一つだけだからかもしれない。
もう最悪だ。
こんな場面を毎日見るくらいなら会社に来たくない、なんて思ってしまう。
だけど、仕事は好きだからやめたくない。
そんなことを考えていると、同じ会議に出ていた三堂さんが私の肩を叩く。
「何泣きそうな顔してるの?」
「三堂さぁん……」
小さくつぶやくと、三堂さんは顔を上げ遠くに二人の姿を捉えると、
「あぁ……アレね」
と言う。