S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「な、何ですか……」
(なんで笑ってるんですかっ!)
そう思っていると、三堂さんは口を開く。
「七瀬さんも、そんな顔もするのねぇ」
「そんなって……」
「ふふ。そんな顔してちゃ、周りに隠せないわよ?」
三堂さんの言葉にドキリとする。
(恋心を、ってことだよね……?)
でも、そんなにわかりやすいって、私は社会人としてどうなんだろう……。
恋愛で浮かれたり、落ち込んだり、それが仕事にまで影響するということは、よくないことだと個人的には思っている。
「しゃ、社会人失格です。プライベートが仕事に影響するとか……」
私が肩を落として落ち込んで言うと、三堂さんはきょとんとした顔で私に聞く。
「え? なんで? いいじゃない。私生活順調じゃなくて仕事に逃げても、もちろん、私生活順調でルンルンって仕事楽しくしてたって」
「……でも、それじゃ、ちゃんと仕事できないじゃないですか」
「それは……どうだろうね? うちでは一番ルンルンしてる人が、間違いなく一番とんでもなく仕事できるわけだし」
そう言って三堂さんは微笑む。
三堂さん本人のことだろうか?
確かに、三堂さんは恋も順調で仕事も恐ろしいほどできるけど……。
そう思って三堂さんをちらりと見ると、三堂さんはまた楽しそうに笑った。