S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

―――その夜は、要さんの祖父、つまり北条グループ総帥の誕生日パーティーだった。

 ホテルに着くと、一つ用事を済ませ、要さんの指定したフィッティングルームに行く。
 そこには、ドレスと靴、そしてヘアメイクさんまで用意されていた。

 私の準備が整ったところで、要さんがそこに迎えに来てくれる。
 手を差し出され、私はその大きな手の上に自分の手をのせた。

 要さんも正装で、なんだか、絵本の中の王子様とお姫様みたい。
 でも、要さんの横はやっぱり槙野さんが似合いそうだけど……。

 そう思って勝手に落ち込んでいると、

「綺麗だな」

と要さんが私を見て目を細める。

 そのまっすぐな言葉に少し恥ずかしくなって、私は目線を反らせた。
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