S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 久しぶりに会う要さんのおじいさまはとてもお元気そうだった。

「お誕生日おめでとうございます」
「あぁ、ありがとう。あれも、ありがとう。会場が華やいだ」

 目線の先にあったのは、私が誕生日プレゼントにと用意して会場で活けた花だ。
 着替える前に、ここで活けさせてもらったのだ。

 本当はもっとなにか贈りたかったのだけど、要さんに『ものはもう十分すぎるほど持ってる』と言われたので、花にした。

 お花を教えていただいていた先生とも相談して、誕生日にふさわしい花を選んだ。
 
 その花を、総帥は目を細めて見ていて、私は嬉しくなる。

 私の祖父は厳しくて、いろいろな習い事をさせられ普通の女の子のような生活はできなかったけど……。でもああして続けてきたことが、今の生活を支えてくれているように思えた。

(おじいさまにも、感謝しないとな……)

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