S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 そう思ったとき、祖父が見える。
 私は久しぶりに会った祖父に、なんだか少し緊張して、ゆっくり近づく。

 先に口を開いたのは、祖父だった。

「久しぶりだな」
「おじいさま……お元気そうでなによりです」

 祖父は、私の活けた花に目をやる。

「お前の活けた花、久しぶりに見た」
「どうですか?」
「まぁまぁ、だな」

 そう言って、祖父は小さく微笑む。
 私はその様子にほっとしていた。

 祖父は決して手放しに褒めない厳しい人だ。その祖父がこう言うのは、かなり褒めている方だと思う。

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