S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
私は恐る恐る口を開いた。
「え……? お二人って恋人だった訳じゃないんですか?」
「まさか。佳奈美は従姉だ。俺の父の姉の長女」
「従姉……」
私が言うと、槙野さんは、そうよう、とさらに私の頭を撫でた。
そういえば、このパーティは身内しかいないと言っていたような……。そんなことを今更思い出して、自分で自分が情けなくなる。
次の瞬間、眉を寄せた要さんは私の身体を槙野さんから引きはがして、自分の胸の中に収めた。私は慌てているのに、2人は気にもしていない。
「佳奈美、触りすぎだ」
「社内では我慢してたんだから、いいじゃないのよぅ! ケチ!」
親戚なら、二人がこれだけ美男美女なのも頷ける……。
私は要さんの胸の中を抜け出すと、二人をまじまじと見た。従姉妹って付き合えるんだっけ……?
「い、従姉で……付き合ってたってことですか?」
「じゃなくて、付き合ってるって嘘の噂を流したって言ったでしょ。要、本当にモテすぎてね。面倒になったみたいで、名字も違うからバレないだろうって」
「……でも、恋心があった……とかでは……」
思わず聞いていた。
その瞬間、二人は青ざめる。