S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「まさか! ないわよ! こんな粘着男好きになるはずない! 前飲んだ時は、不安になってるいろはちゃんがかわいすぎてからかっただけだからね!」
「俺だって、全く好きではないからな」
本気で叫んだ槙野さんに、要さんはむっとして返す。
「あら、なにそれ。昔はオムツかえてあげたのに。その恩を忘れたの」
「そういうところが嫌なんだ」
「おむつ……」
私が槙野さんを見ると、槙野さんはにこりと微笑む。
「あのな……佳奈美はとっくに結婚してる。しかも昔から日本人興味なし。相手はイギリス人だ。それにこう見えて、佳奈美は15年上で47」
「47⁉ え、人妻!?」
「やぁねぇ。レディの年齢をそんな大声で」
そう言って、槙野さんは微笑む。
イギリス人の夫、たしかロンドン副支社長……。あ、だから?
「だから……ロンドン?」
「そうそう。ロンドン支社長が私の夫なのよ。レオー!」
槙野さんは手を振る。
すると、背の高い金髪碧眼の男性がこちらに歩いてきた。もうどんどん話についていけなくなる。
「レオ……」
「はじめまして、イロハさん。よくカナメから聞いてました。本当にかわいらしい」
そう言って、レオは私にハグをしようと手を広げる。
「レオ、それはダメ」
そう言って、また要さんは私を自分の胸の中に収める。それに槙野さんがまた眉を寄せた。
「まったく、独占欲強すぎ。私やレオにまでヤキモチ妬くんじゃないわよ」
私はこれまでの情報が全く整理できず……
まだ頭の中が混乱したままだった。