S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「もう隠しごとはないな?」
そうまっすぐな声で言って、要さんは私の目を見る。
私は息をのんだ。
要さんには、私が昔、駅で助けてもらったことをまだ告げていない。
そんなことを考えていると、勘のいい要さんにはその様子の変化にすぐ気付かれてしまった。
「何か思い当たるって顔してるな」
「で、でも……もっと私がきちんと仕事できるようになってから伝えようと思っていたから」
「俺は十分認めてる。いろはの仕事も、十分に」
「でも」
「いろは。もう隠しごとはなしだ。言いなさい」
ぴしゃりとそう告げられて、私はぐっと言葉に詰まる。
それでも、確かにもう隠し事をするつもりもなく、全てを話す決心をしていた。