S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

「黙っていたんですけど、私ね……昔、要さんに会ったことあるんです。高校の時」

 そう言って、続ける。「その時、槙野さんと一緒にいて。すごくお似合いのカップルで、仕事できそうな凛とした姿も格好よくて……それで、憧れて。お二人に並びたくて、私は父や兄の反対を押し切ってまで北条ホールディングスを受けたんです」

 要さんは私の目を見る。

 あぁ、なんだかこれ、恥ずかしくなってきた。
 だって、今考えてみれば我ながら……ずっと要さんの背中を追いかけていたなんて恥ずかしい話だ。

(でも、もう嘘つけない。つきたくない)
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