S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
そう思って、私は続けた。
「あ、あの時、あの助けてもらったとき、要さんが北条ホールディングスの封筒持ってたからですよ。北条受けたら、また会えるかなって思って。す、ストーカーみたいですよね。我ながら……気持ち悪いって分かってます……」
私は話しながら自分で自分が変だと自覚していた。
「もともとお二人がカップルなら邪魔する気なんて毛頭なかったんです」
そう言って、続ける。
「でも、それでも……お見合い相手が要さんで、私は、そのときまだ自分の恋愛感情には気付いてなかったけど……嬉しかった。でもまだ自分は仕事も一人前にできてないから、そんな状態で結婚するのは早いと思って、だからお断りしようとしました」
私が頑張って告白しているというのに、要さんは自分の口元を手で覆って、黙ったままだった。
やけに恥ずかしくなってきて、目をぎゅっと瞑ると、なんとか続ける。
「で、でも、私ね、仕事はやっぱり好きです。要さんと槙野さんのお二人みたいになりたいって北条ホールディングスで仕事始めたけど、要さんと仕事したらもっと仕事も好きになりました。でも、それとは全然違うところで、要さんのことがちゃんと好きになってて……なんていえばいいのかわからないけど」
話が支離滅裂だ。
それでも、要さんはちゃんと私の話しに耳を傾けてくれていた。
私はぐっと手を握ると、まっすぐ要さんを見つめる。
「高校の時会って追いかけて就職なんて、自分でもちょっと気持ち悪いと思います。しかも、今までそれも黙ってて。だけど……これを言ったのは、私は要さんとちゃんと夫婦になりたいと思ったから」