S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 私は自分が耐えきれずに目を瞑ると、要さんの唇に自分の唇を重ねた。

「……んっ」

 温かい、でも、柔らかな感触。
 この感触に慣れ、温かさが気持ち良く、いつの間にか心地よいとまで思っていることが不思議だ。

(あの大胆なキスのせいかなぁ……)

 気付いたらいつもより長くキスしていたらしい。息が苦しいくらいになっていて、それが不思議な事に自分でも気づいていなかった。

 そっと唇を離すと、要さんは私をまっすぐ見ていた。私はその瞳に緊張し、それから、おずおずと口を開く。

「こ、これでいいですか……?」
「あぁ、上手になったな」

 微笑んでそう言われると、仕事で褒められた時と同じように心が弾むようだった。
< 24 / 283 >

この作品をシェア

pagetop