S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

―――こんな日がくること、1年前は考えたこともなかったのに……。
 今はもう、この人の胸の中のこのぬくもりがなくなることを考えることができない。

 ゆるゆると温かい場所で気持ちよく眠る猫みたいに、
 私はうっとりとその場所に顔をうずめる。

 ふと目が覚めると、やっぱりそんな温かい場所で、
 優しく頭を撫でる大きな手と、逞しい腕が私を包みこんでいた。

「痛みはなかった? 大丈夫か?」

 私が目を覚ましたのに気づいた要さんは優しく問う。

「痛みは、ほとんど……なかったのでそれは大丈夫です」

 痛みと言うより、恥ずかしくて、でも気持ちよくて……それで怖かった。

 こんなことを知ってしまったら、なんだかもう戻れなくなりそうで。
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