S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

「年寄りでしょう」
「そう思うなら、この年寄りに孫の顔位見せてくれ」

 そして、だからこそ、この手の頼みは困り果てる。

「無理ですよ。俺は結婚する気はありません。絶対に仕事の邪魔になる」

 祖父がそう願うならいつかそうなればいいとは思うが、そう思える相手に出会ったことなどない。
 それならそれで、何も考えずに決められた相手と子どもを作ればいいだけとは分かっているが、家に誰かほかの人間がいると思うだけで、気が散ってしまって仕事もうまくいかなくなる気がした。というのも、これまでの経験上、女というものは面倒だと言う記憶しかないからだ。家事なら自分もできるし、必要があれば家政婦を雇えばいい。

 そんなことを考える俺を見て、祖父はため息を漏らす。

「相変わらずわかっておらんな」
「何がですか」

「上に立つものは、自分が信用されるだけでは駄目なんだ」

 きっぱりと告げられた声に、思わず祖父の目を見た。
 仕事では認められているし、信用され始めている。それだけで十分ではないのか、と勝手に眉が寄る。
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