S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
ふと隣にいた佳奈美がニヤニヤと俺の方を見ていることに気づく。
「なんだ……」
「いや、そんな顔、するんだって思って。特定の彼女作らないとか言って、ロリコンだったのね」
「そんなわけない。ただ、あの子はじいさんのお気に入り」
「え? 総帥の?」
佳奈美は目を見開いて聞き返してきた。
「そう。半年前、総帥が怪我したろ。あの時総帥を助けた子。その助けた相手がうちのグループトップってことは本人もわかってないがな」
俺がそう言っても、佳奈美はニヤニヤしている。
「まぁ、それだけって風には見えなかったけどね」
「……行くぞ」
たまたまなのか、その日の商談はすこぶるうまくいって、
俺はまたあの子の顔を何度も思い出すことになる。