S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
私は話題を変えるように口を開く。
「でも、どうしてうちは今回新入社員の配属なかったんですか。後輩ができるのを楽しみにしていたのに……」
そう、私はその日から2年目。
2年目と言えば、当たり前に後輩がやってくると思って期待していたのに……。
そう思っていると、三堂さんが微笑む。
「うちの人事部は、普段、新入社員なんて配属される部署じゃないのよ」
「そうなんですか?」
「そうそう。普通人事部って言うのは、会社の中でもそんなに権力はないって言われてるんだけど、うちは人事にある程度裁量持たせてるからいい人材をつけるんだ。だから新入社員は基本的に入ってこない」
如月さんも加える。
しかし、私はその言葉を聞いて、嬉しいと言うより不安になった。
「……知りませんでした」
「なんだかんだ、七瀬の入社試験満点だっただろ。新入社員代表で挨拶してたし」
それでも、一つの可能性を考えると、手放しで喜べるわけではない。
私が悩んでいると、三堂さんが微笑んで背中を叩いた。
「新入社員は入らなくても、今日から独り立ちなんだから。頑張ってよ」
そう、今日から二年目ということは、指導係と逐一ペアで行動しなくなる。
実質、独り立ちなのだ。
「はい、少し不安ですが……」
私が呟くと、大丈夫よう、と三堂さんがからっとした笑顔で微笑んだ。