S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
はっきり聞くと、会長は真剣に悩み始めた。
無茶な条件を考えるためだろう、と思っているとその予想は当たった。
「……あの将棋がへたくそな君のじいさんが私に勝ったら、にしよう」
「祖父が?」
そう言って、顔を上げる。
調べたところによると、会長はプロになれるくらい将棋が強かったし、今も強いはずだ。
確かに、そこまでに将棋は強くないうちの祖父からするといつまでも勝てない相手であろう。
そう思ったのか、会長も言う。
「まぁ、私にはまず勝てないだろうが」
「承知しました」
しかし、俺は頷いていた。
会長の顔が曇る。
「え……」
「では、祖父が勝ったらお見合いさせてください。絶対に、約束ですよ」
俺はそう告げ、ソファから立ち上がる。
「私の祖父も北条グループの総帥たる男です。私も誠心誠意、祖父が将棋に強くなる手伝いをしますので、きっと遠くない未来に見合いは決行できると思います」
そう言ってその部屋を後にした。