S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「本当は家にずっと閉じ込めて自分だけのものにしたいって思うけど……きっとそれじゃ、いろはがいろはらしくはいられないんだろうな」
要さんはそんなことを言った。
「……え?」
「だから、いろはさえ仕事を続けたいって言うなら、子どもを産んだ後も続けてもいいんじゃないかなと思ってるんだ。もちろん、自分の目の届く範囲にはいてほしいけどね」
要さんもそんなことを言って、私は驚く。
今ちょうど、私もそんなことを少しだけ思っていたから。
「ほ、ほんとに? 子どもも、仕事も、両方考えていいの?」
「それも見越して、如月にはこっちからも言っておいたから」
要さんがそう言って、如月さん? と私は首をかしげる。
何故突然その名前が出てきたのかわからない。すると要さんはするりと私の髪を撫でる。
「いろはが一人で頑張ってるのも良かったんだけど……彼に関して言えば、まだ、いろはに好意を持って周りをチョロチョロとしているみたいだったからやっぱりなにかと心配でね」
「……なんでそんなこと知ってるんですか」
「もちろん知ってる。いろはのことならなんでも。でも……釘を刺しすぎたかもしれないな」
そう言って要さんは何を思い出したのか、苦笑した。
「如月さんに、何言ったんですか」
「まぁ……それは知る必要ないさ」
そういうと、要さんは私の唇をふさぐ。
私は慌てて要さんの胸を押した。