S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「それは良かったです」
「七瀬さんまで茶道を嗜んでいたのね」
そう言われて、ぎくりとする。
あまりお嬢様と思われて遠慮されるのも嫌で、それについてはできるだけ誤魔化すようにしている。
「私は茶道……部だったんです」
これも、決して嘘ではない。部活には入っていなかったが、文化祭などで人手が足りないときは茶道部に駆り出されたこともあるのだ。
そういうと、三堂さんは目を丸くした。
「へぇ、初耳! いいわね、それで菊上先生ともつながりがあったのね」
そう言われて、曖昧に微笑む。
実際は、祖父とのつながりの濃い先生だ。今日だって、私が祖父の孫でなければ無理は聞いてもらえなかっただろう。結局(祖父の)職権乱用してしまった……。
「如月さんも協力してくださったので助かりました」
「俺は、茶道の内容はさっぱり。資材調達だけな。そのあたりは部長も随分、尽力してくれたぞ」
そう言って、隣にいた如月さんは笑う。お茶菓子については頼めたのは良かったが、受け取りに行くことができなくて苦慮した。それを要さんが気軽に引き受けてくれたのだ。
私は要さんの姿を、部の奥にある打ち合わせスペースの端に捉えて、部長にもお礼をお伝えしておきます、と要さんのもとに足速に向かった。