S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「部長、お茶菓子の件、ご協力いただきありがとうございました。無事に、研修を終えることができました」
と私が笑うと、いつものように要さんは目を細める。
「いいや、俺はたいして力になってない。七瀬がよくやったんだ」
その言葉に嬉しくて飛び上がりそうになる。しかし、小さな声で、
「ふふ、やめさせられなくて残念でしたぁ」
とニヤリと返してしまう。
要さんは、楽しそうに笑うと「そうだな」と呟いた。
「へへ」
得意げに笑って、じゃあ、とその場を後にしようとした私の腕を、要さんはパシリと掴んだ。
これまでそんなことをされたことがなくて、私は大きな声を出しそうになったのを必死にこらえて要さんの方を向く。
「ど、どうしたんですか」
「今夜、7時。地下駐車場」
そんな言葉が耳元で、低い声で耳打ちされる。
「え?」
「約束な」
顔を見上げると、要さんはいたずらっぽく微笑んで私を見ていた。