S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
運転する要さんをじっと見ることもできず、でも、なんとなく見ないのも勿体無い気がして、チラチラと要さんを盗み見ていた。
横顔も間違いなくかっこいいし、運転してる手とか、男らしくてちょっとずるいくらい。
そう思ったところで、要さんの唇が目に入り、昨日の夜の、あの大胆なキスをやけに思い出してしまった。
顔が熱くて車の窓を開けたくなったけど、まだ会社から離れていないので誰かに見つかってはいけないと、自分の手で、自分の顔を仰ぐ。
「熱いか? 冷房下げる」
「いえ、大丈夫です。それより、どこ行くんですか」
「知り合いの店だ」
少し走らせた後、車を近くの駐車場に止め、向かった先はオフィスと飲食店の入る50階建ての複合ビルの46階。
店内に入ってみると、綺麗な夜景だけでなく、大きなグランドピアノが目に入った。
「わぁ……! ここ、初めて来ました」
私が笑顔で言うと、要さんは目を細めた。