S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
5章:揺れる気持ちと半年前のこと
いつのまにか要さんの背中に腕を回していた。
舌を絡め合い、息する間も惜しくて、何度も何度もお互いを確かめ合うようにそれを続ける。
気づいたときには、要さんの逞しい腕も私の背中に回っていた。
唇が離れて、熱い息が吐きだされると同時に、要さんの熱っぽい目と目が合う。
そうすると、また心臓が大きな音を立てだす。
(この雰囲気……今までと違う……)
要さんの目の奥に『この先』にあるものが、ぼんやり頭をもたげている気がする。
要さんは私の頬を優しく撫で、
「これ以上は、ここじゃだめだな。部屋に戻ろうか」
という。
ビクン、と身体が跳ねて、勝手に涙が目じりに浮かぶ。
思わず首を横に振っていた。
「……や……」
「これ以上知ることに怖気づいた?」