S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「……部長って案外、野心家だったんですね」
私が呟くと、部長は息を吐く。
「知っているかもしれないが、うちのグループは、叔父も叔母も経営陣に名を連ねている。自分がトップに立つには、邪魔する者も多い」
「……」
「父母とも亡くなっている俺には後ろ盾がないんだ」
そんなこと初めて聞いた。
たしか総帥の長男の一人息子だとは聞いていたが……。
その父親が亡くなっているとは……。
そうして、部長は続ける。
「だからこそ、じいさんの薦める見合いで結婚するのは、俺にとって大事なことだ」
その言葉に、不思議と心がずきんと痛む。