S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
私は慌てて首を横に振って言う。
「し、しかし、そう言われても、私は、今、結婚する気なんてありませんから! ほかの方をあたってください!」
「それは何故だ」
(そんな真面目な顔で聞かないでっ)
私はむっとすると、少しして答えることにする。
「私、ちゃんと自分のことは自分一人で全てできるようになってから……って思ってます。家のことも、お金を稼ぐのも。それに仕事、楽しいですし、すぐに辞めたくないんです。できれば定年まで、なんて思ってます」
仕事を楽しくした原因の一人はあなたですが……とは言えない。
そう思ったとき、部長は眉を寄せる。
「結婚する気はないってこと?」
その言葉にドキリとした。
私に結婚しない、っていう選択肢はないと思う。
兄が七瀬モーターズの後継者とはいえ、どこか物流を持ってる企業とのパイプは作っておきたいだろうし……。その意味で、政略結婚は必須だ。
北条グループの物流網は大きいし、いいとは思う。しかし、北条グループ以外でもいいし、今でなくてもいいはずだ。