Ｓ系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい～お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで～

「嘘」
「嘘じゃない。嘘をつかないってルールだろ？　それに、あの時は、ああでも言わなければ、いろはは俺との結婚を考えてはくれなかった。違うか？」

　要さんの言葉に私は口を噤む。

「……キミは俺との結婚も断ろうとしてただろ」
「それは……」

　確かに結婚なんて、まだまだ考えてなかった。
　できればこのままで……少しでも結婚は引き延ばして仕事していたいって思っていたのだ。

「で、でも、好きなんて……そんなの、今更信じられないです」
「できる限り伝えてきたつもりだし、行動でも示してきたけど、全く伝わってなかったってことでいい？」

（そう言えば、要さんって、めちゃくちゃ甘い事、さらりと私に言ってきていたような……）