S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「他の男がキミを見て、好きになったら嫌だ。いろははかわいいからね。どんな男だって好きになる」
「な、何言ってるんですか。そもそも私モテたことなんてないですし……」
「それは俺が潰してきたからだ」
要さんが低く呟き、それは私には聞き取れなかった。
「……え? いま、なんて……すみません、もう一度」
「いや……」
そう言って、要さんは言葉を濁す。
(さっきあまり聞こえなかった言葉が、やけに気になるんですけど……)
そう思っていると、要さんは私の髪を撫でる。
「知ってると思うが、俺はこだわりすぎて、少し変なんだ。料理もそうだけど、いろはのこととなると、うまく立ち回れない」
「……十分立ち回っていたような気もするんですが……」
(だって騙したふうにした原因、要さんでしたよね……?)