S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
8章:気づき
―――金曜の夜。
私と三堂さんと如月さんは、仕事終わりに会社近くのダイニングバーにいた。
三堂さんが、おすすめの店があるのよぉ、と言って予約してくれたのだ。
三堂さんがおすすめと言うだけあり、そこは人でにぎわっていて、雰囲気も良く、フードもドリンクもメニューが豊富だった。
「「「かんぱい!」」」
三人の声と、グラスの合わさる音が響く。
そして、三人同時にグラスに口をつけた。
ぷはっ、と如月さんが元気に息を吐き、私たちはそれを見て、ほっとして息を吐く。
最近の如月さんは、席に戻ってきてもずっと元気がなさそうだったから。
でも昨日、その問題は解決を迎えたようだ。
そのせいか、如月さんの顔色も明るい。
「よかったわね、面倒そうなトラブルが解決して」
「ありがとうございます。これですっきりして飲めます」
「あれ、間で動いてくれたの、部長でしょ?」
「はい」
「部長……ですか?」
聞くと、私が知らない間に要さんも力を貸していたらしく、
要さんがいたからこそ無事に解決したようだ。
(あれ? でも要さん、他の案件もいくつか抱えていたような……)
そう思うと、なんだか少し悔しくて、
勝手に少し誇らしくも感じるのだから不思議だ。