聖なる夜の甘い愛
「……も、しもし。」
「香…ごめんな、俺お前の気持ち何も考えてなかった。…でも、ちょっとは考えてたよ。」
外に来てよ。
壱にぃに言われたから慌てて出て行った。
「ったく!暖かい格好して来いよっ」
そう言いながら、私に上着を被せてくれた。
「…………。」
「……もぅ朝から晩まで仕事は取り消せないからさ。今しかなくて、これ。」
照れくさそうな顔で私を見て小さな箱を出してきた。
「……開けてい?」
壱にぃは、かすかに頷いて、そっぽ向いた。…なんだろ?
開けると、綺麗な指輪が入っていた。
「なんで……何これ…っ」
「前から用意し…って何泣いてんだよ。
おら、右手貸せ。」
「左じゃないの?」
「ん?ここは、」
高校卒業したら、もらうから。
って、軽く左の薬指にキスをした。
「安物の指輪だしな、とりあえず右。」
お互い、震えながら指輪を通した。