桜咲く。傘を持つ
プロローグ
桜が散り、水に浮かぶ

水の上で揺れる花弁

何て、美しいのだろう

「…これは、良い話が書ける…」

「君、面白そうなの書いてるね」

「……え…?」

ふわふわ揺れる、茶色の髪

キラキラした瞳で僕を見つめる

「どれどれ?見せてよ」

「わっ…」

僕の許可をとる前に、小説を書いてあるノートを奪い取られる

しばらくの沈黙

風の音

水の雫が落ちる音

これだけで、静かさが分かる

「私」

沈黙が明け、彼女の声が聞こえる

彼女は、満点の笑顔で言う

「これ、好き」
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