桜咲く。傘を持つ
第1章
朝起きて

着替えて

ご飯を食べて

学校に行く ここら辺から…

ただ、普通の日常なのに何とも言えない違和感を感じる

「ねぇ、ストーカーするくらいなら…話しかけてくれない…?」

「あっちゃ~♪ばれちゃってたか♪」

大分と冷たい声で言ったはずなのに、彼女には効果がないようだ

「これ、何日連続で言ってるかな」

「えっと~2週間くらい!」

「はぁ…」

彼女と桜が咲く水辺で会ってから、こうやってストーカーされている

一体、何がしたいのか






ざわつく、クラスの声…いや…他のクラスに他の学年の声まで聞こえる

「わぁ、人気者だね晴くん!」

「君が人気者なんだよ…」

学校で一番の美女

彼女は、そう言われている

彼女と同じクラスなのが難点だ

彼女と話すだけで注目を集めるのに

彼女は今


僕の席の横に椅子を置いて、ずーっと話している

「ねぇ、距離近くない?」

「ん?そう?」

特に僕は気にしてないが、目線が痛いので彼女と話すときは、2mくらいの距離が欲しい





「ねねっ、ご飯一緒に食べよ!」

「え…?何で僕と食べるの?」

「ん?一緒に食べたいから!」

「ごめん、聞き方が悪かったね…何で、僕とご飯が食べたいの?」

「一緒に食べたいから!」

予想より、彼女は馬鹿なのかもしれない。

もう駄目だと思い、ため息を漏らす





「いっただきまーす!」

「…いただきます」



「んん~!おいひぃ」

「こら、飲み込んでから喋る」

「何か、お兄ちゃんみたい!」

可笑しそうに笑う

本当に、幼い子供みたいだ


「晴くん」

不意に、落ち着いた声で呼ぶ

「…なに」

「私さ、晴くんの書いた小説好きだよ」

急に言われると、変な気持ちになる

嬉しいのか、恥ずかしいのか

「あ…ありがとう…?」

「疑問系!?」

鋭いツッコミが、少し可笑しく見えて

「ふふっ」

「あ!初めて晴くんが笑ってるの見た!」

コロコロ表情が変わる、忙しそうだな

でも、案外良い子かもしれない









「前言撤回!」

「えぇ!!どうしたの!?晴くん!?」

帰りまで着いてくるとは聞いてない

僕は…目線が怖いんだ…

「着いてくるとは聞いてないよ、志乃ちゃん!」

「えぇ!良いじゃん!」

「あっ、私のこと初めて『志乃』って呼んだね!」

今、頑張って走って帰ったら着いてこないかもしてない

だが、そんな気力が残っていない

そういえば、人とこんなに話したの、いつぶりだろうか
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