桜咲く。傘を持つ
「晴!」
「本当、違うって…」
「嘘つき天野 晴!」
彼は僕の幼なじみ
結野 灰
顔は良い方、いや…イケメンだ
少年感がいまだに抜けていない
周りからは
『守りたい、この笑顔』
『母性本能が働く』
らしい
小学生の後半の時、僕は気づいた
灰はイケメンだと
ただ、モテてるだけだと思っていた僕は凄い
そして、いま僕は
その灰に、志乃ちゃんと付き合っているという噂の答えを聞きに来られている
「信じてよ…灰」
「無理、信じれない」
頬を膨らませて怒る姿は、本当に幼児だ
「わっ…またやってる、灰元気だな」
「お疲れ、天野」
他人事過ぎるクラスの会話
女の子達の目線も怖いし…
「へぇ…僕の事信じてくれないんだね、灰は」
「は…はるぅ…」
「はるぅ…、ご…ごめん!ごめん!」
「信じるからぁ…ごめん…はるぅ…」
落ち込んだような顔をして目をそらすと、僕が勝つ
小学生から高校生まで一緒なのだ、必勝法なんて分かってくる
「分かった…許してあげる」
「はるぅ…ありがとぅ…」
「晴~♡」
必勝法には、デメリットが付き物だ
彼への必勝法のデメリットは
凄くウザくなるということ
許さない方が、ウザくなるから良いのだが…
これもこれで、結構ウザい
「強いな、あいつ」
「いや、灰が弱いんだ」
他人事過ぎるよ…