白蛇と猟師

ある森に、一匹の真っ白な蛇がいた。

自分よりも弱い小動物に、自らの体を巻き付けて弱らせ、牙を立てる。

自らが生きていく為に…


ある日、一人の男が森にやってきた。

銃を担ぎ、勇ましく森を行くその姿を、白蛇は草の間から見つめていた。

木漏れ日の差す森の中、男は時に額の汗を拭い、獲物を見つけては捕らえながら進む。

するとそのうち、清らかな水の湧き出る泉にたどり着いた。

男が一休みし、泉の水を手で掬い喉を潤していると、背後にいる真っ白な蛇がじっとこちらを見つめているのに気付く。

「なんだ、蛇か。」

男はそうは言ったが、よく見るとなんとも美しい蛇で、スラリと細長い体につぶらな瞳。
木々の間から当たる陽の光に白い鱗が照らされ、蛇の体はキラキラと光って見えた。

「なかなかだな。お前が人間の女ならよほど良かっただろうに」

男は蛇を見て笑いながらそう呟くと、スッと立ち上がった。
蛇は変わらず男を見つめている。

男はその後蛇を気にすることなく、そのまま森の小径を通り、森を出ていった。