白蛇と猟師
蛇を連れた猟師は村外れの自分の小屋に帰ると、布を敷いた籠にその小さな蛇を入れ、玄関近くに置いた。

「お前の場所だ。そこで寝てくれ。」

蛇は礼を言うように頭を下げたあと、ゆっくりと小屋の中を見渡した。

殺風景で、あまり物が無い小さな小屋。

猟師は床に座り込み、籠のなかの蛇に言う。

「まあ、お前の気が済むまでいたらいい。お前の食事だけは面倒見れないが。飯は悪いが小屋の外で頼む。」

『ありがとうございます。私に何かできる事があればおっしゃって下さい。できる限りのことはします』

それを聞いて猟師は笑う。

「なぜ人と話が出来るのかは知らないが、お前は俺の話し相手でもしてくれればいい。そうしていればお前の望み通り、無駄に食わずとも済むだろう。俺自身は無駄に取ることはしなくとも、仕事はしなけりゃ生きていけないからな。俺が家にいない間は…」

そう言うと男は部屋を見渡した。
そして雪深い冬の間にする道具を見て蛇に提案する。

「籠でも編んでみるか?」

『籠…』

猟師の指差した籠を蛇は見る。

「やり方は教えてやる。柔らかい弦でな。仕上げも手伝うからどうだ?」

『はい、やってみましょう』
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