白蛇と猟師
その日から猟師と小さな白蛇という、変わった組み合わせの生活が始まった。


猟師は朝に猟に出掛け、必要分の獲物と籠の材料を獲ってくる。そして自分の分を少し取り、残りを、夜に蛇と仕上げた籠とともに街で売った。
得た金で自分のための食材と暮らしのための品を買い、家に戻る。

獲物に毎日ありつけるわけではないため、日雇いに行くこともあった。

蛇は起きるとまずは自らが誓った通り一日体力が持つだけの果物を外で獲り、終わるとさっそく籠作りを始める。

猟師が採ってきた弦は自らの体に巻きつけ持ち出して外に干し、猟師が帰るまでに取り込む。
そして一日中、尾と牙を使って柔らかい弦を懸命に編んで籠にした。

蛇は出来ることは猟師を手伝い、ともに暮らした。

決して楽な暮らしではなかったが猟師は嫌な顔一つせず、蛇を日々気にしてやっていた。


「ここは人目につかないボロ屋だし、俺に養いが無くて良かったもんだ。お前は自分の飯は自分でだし、俺はお前の水浴びと寝床を面倒見てやるだけだからな。」

『本当にあなたには感謝しています』

蛇はそう言って嬉しそうに目を細め、深く頭を下げた。

それを見て猟師は、

「話し相手でもあるお前は、俺の籠作りの仕事仲間ってわけだ。…どうだ、お前は充分役に立っていると思わないか?」

そう笑った。
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