白蛇と猟師
蛇は村に向かった。

細い体を必死に動かし、前へ前へと進んだ。
猟師のために、早く誰か助けを呼ぼうと。


しかし蛇を見た村人は避ける者、逃げ出す者、石を投げつける者もいた。

『お願いです!どうか猟師さまをお助け下さい、どなたか…!!』

誰も蛇の言葉を耳に入れようとする者はいなかった。


追い回され、傷付いた蛇は猟師のもとに戻った。

自分が蛇であるばかりに何も出来なかった。
猟師を手当てすることも出来ない。
ただ他の人間を呼びに行く、そんなことすら…

戻った蛇を見て猟師はポツリとつぶやく。

「お前、そんなに傷付いて…辛かっただろう…」

蛇は自分を思い遣ってくれる猟師の体をせめてなんとか起こそうと、体を伸ばして猟師に自分の体を絡みつけた。

「もういい止めろ、蛇…諦めるしかないんだ…。俺はいつか誰かがこの森の奥に足を踏み入れて見つけてくれるのを待つだけ…」

蛇は猟師の言葉を遮った。

『私は、諦めたくありません…!』

「役に立ちたいんだろう…?お前はこれからだって、誰かの役に立てるさ…」

蛇は猟師の体にしがみつきながら言った。

『私は、あなたの役に立ちたいんです!私を見捨てずにいてくれたあなたの役に立てるなら、この身が千切れようと!どうか諦めないで、あなた…!!』

蛇は猟師を励ましながら祈った。

どうかこんな自分に、恩人である彼を助ける力を…!!
と。
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