白蛇と猟師
猟師は森の奥まで探しに来た村人たちに助けられ、無事に家に運ばれる。

しかし自分で動ける体力もなく、気付けば三日ものあいだ眠り続けていた。


そして目覚めた猟師のそばに、あの白蛇の姿はなかった。

あの人情深い蛇のこと、自分のもとにいないのは蛇に何かがあったからだと猟師はすぐに察した。

猟師は動けるようになるとすぐに、あの森や村に出向き白蛇や娘の姿を探したがどこにもいない。
自分を助けに来た村人たちに聞いても、戻った村にあの娘の姿はなかったという。

「…白蛇……」

それからどんなに探そうと、結局あの白蛇は見つからなかった。

男はあの白蛇とした『無駄な殺生をしない』との約束でとうとう猟師を辞め、細々としながらも自分の出来る限りの仕事をした。
そして白蛇を探してから帰ることを毎日続けた。


一年ほど経った、ある出稼ぎからの帰り道。

「あの…もし…」

そう、後ろから若い娘の声で呼び止められる。

振り返った彼が見たものは、あの白蛇が変化していた姿そっくりの娘だった。
濡れたような艶のある髪と、見慣れない白く美しい着物からは細く白い手足がのぞいている。

「…白蛇…!!」

彼が声を掛けるが、その娘は首を傾げ困った様子で立ち尽くしている。
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