裏切りの果てに~ただあなたと胸を焦がすような恋がしたかった~
山野院長に同じことを何度もされたけど、1度も恥ずかしいなんて思ったことなかったのに。


ベッドに横になってお腹を手で触られ「ここは痛みますか?」なんて、優しい言葉をかけてもらうだけで癒された。


顔の美しさはもちろんだけど、その声も手も仕草も…全部が素敵で、私は診察の度にドキドキした。


病院は、はっきりいって行きたくない場所だったけど、寛也さんに診てもらえると思うだけで嬉しくて、そのうち下着や洋服にまで気を使うようになった。


気づけば私の中で病院は「嬉しいところ」に変わっていたんだ。


そして、私は…


いつしかここで寛也さんを支えたいと思うようになり、新しい職場として選び、働き始めた。


『ねえ、祥子さん。今日、旦那様、検診だったよね?』


『はい。昼前に来るって言ってました』


『祥子さんの旦那様って…すごくイケメンだよね?』
< 11 / 56 >

この作品をシェア

pagetop