裏切りの果てに~ただあなたと胸を焦がすような恋がしたかった~
『こんにちは~』


新川さんは、ひょいと受付に顔を出して圭輔に挨拶した。


『あ、こんにちは。いつも祥子がお世話になっています』


ありきたりの圭輔の言葉。


『いえいえ。こちらこそ~しばらくお席でお待ちくださいね~』


何だかいつも以上に可愛こぶってる気がするのは気のせいかな?


まあ、別にいいんだけど。


『ねぇねぇ、祥子さん。やっぱりイケメンだよ、圭輔さん。すごくドキドキしちゃった』


え?


それを私に言うの?


一応、私は圭輔の奥さんだよ。


しかも「圭輔」って名前で呼んでるし、新川さん、いったいどういうつもりなんだろ?


気づけば勝手に圭輔の担当みたいに、何かと世話をやいてるし。


トイレの場所なんか知ってるのにわざわざ教えたり、ニコニコと短い廊下を2人で話しながら歩いたり。


私に見せつけてるの?


今日はいろいろ気持ちが落ち着かない、ちょっと冷静さを欠いた自分を反省しながら、一生懸命仕事に取り組んだ。
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