裏切りの果てに~ただあなたと胸を焦がすような恋がしたかった~
今夜もまた私は圭輔…ううん、寛也さんに抱かれる。


『まだまだイカせるから』


『うん』


『祥子の気持ちいいとこ、俺は全部知ってるんだ』


『圭輔…』


旦那の名前を呼びながらも、私は心の中で、


「寛也さん」


って、またあの人の姿を思い浮かべていた。


ベッドで絡み合いながら、私は最高の気分で寛也さんとのひとときを楽しんだ。


目を閉じて自分の世界に入ったら、どんどん気持ち良くなっていく。


泥沼にハマったように、ドロドロした快楽の中に深く深く落ちていき、抜けなくなる。


そのイケナイ感覚を覚えてしまった私は「寛也さんとならどこまででも落ちていきたい」って、そう思うようになっていた。


見た目が普通で、特に取り柄もない私を大事にしてくれる旦那には、もちろん感謝してる。


子どもがいない私達は、いつも支え合って生きてきたし。


なのに、今、私の心の中には別の人がいて、それを思うと申し訳ない気はしていた。
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