裏切りの果てに~ただあなたと胸を焦がすような恋がしたかった~
素敵過ぎた一夜の記憶が鮮やかに蘇り、頭の中が彼でいっぱいになった。


ソファに座って目を閉じると、大好きな寛也さんを感じられた。


彼の笑顔が浮かんで、またキュンとなる。


さっき抱かれたばかりなのに、もっと寛也さんに触れられたい。


胸が痛い、会いたいよ…


こんなにも誰かを求めたことは今まで1度だってなかった。


私は、両方の手で顔を覆って泣いた。


この涙は何の涙?


後悔?


ううん、そうじゃないよ、きっと違う。


今日はもう…何も考えないようにしよう。


シャワーを出し、目の前の鏡に映し出された自分の体を見る。


今夜、寛也さんにいやらしく、ひとしきり愛されたこの体。


再び現れるじわじわとうづく感情を必死に抑え、私は、涙でぐちゃぐちゃになった顔を洗い流した。


ベッドに入ってからも、何とか眠ろうと努力したけどなかなか寝つけない。


キッチンに行って、お水を飲んだりして気を紛らわせたけど、やっぱり眠ることは難しかった。


だからといって…


灯りをつけて、圭輔の帰りを待つことは…しなかった。
< 24 / 56 >

この作品をシェア

pagetop