裏切りの果てに~ただあなたと胸を焦がすような恋がしたかった~
今フリーなのは良かったけど、でも何だか胸が痛かった。


寛也さんの青春時代を私は何も知らない。


可愛い彼女がいたって、いったいどんな人?


でも、それ以上は怖くて聞けなかった。


『あいつ、早く彼女作って結婚すればいいのに。結婚はいいよな、大切な人が側にいるっていうのは…俺には祥子がいるから良かったよ』


圭輔は優しい笑顔で私を見た。


『あ、ありがとう。私も…』


ごめん、その言葉は…嘘。


ちゃんと圭輔の顔見れない。


悪いと思ってるけど、私は寛也さんのことで頭がいっぱいなんだ。


『どう、慣れた?仕事』


『あっ、うん。みんな優しいからね。いろいろ教えてもらってるよ、だから結構慣れたかな。もう3ヶ月経つしね』


『祥子が近くで働きたいって言ってくれて、俺は安心だよ。前の病院は遠かったし、残業もあったから。それに総合病院だから男性も多いし、正直、ちょっと心配だったから。本当、良かった』
< 7 / 56 >

この作品をシェア

pagetop