裏切りの果てに~ただあなたと胸を焦がすような恋がしたかった~
『うん、ありがとう。職場が近いのは有難いし、あなたのいとこの寛也先生もいるしね。みんな良くしてくれるし、働きやすい仕事場が見つかって嬉しい』


あなたから寛也さんを紹介された時、私の人生観が変わった気がした。


結婚すれば人はみんな、その相手のために自分の一生を捧げる。


誰か他の人を好きになるなんて、絶対しちゃいけないって思ってた。


私の両親もちゃんと添い遂げてるし、それが普通だと信じてた。


圭輔の優しさと、普通に暮らしていけるだけの経済力があれば、それで充分幸せなんだって。


愛とか恋とか、そんなことは結婚と同時に終わって、ただ圭輔の側でずっと地道に人生を全うするつもりだった。


圭輔のことは「好き」というより「旦那さん」「生活を共にする人」「大切に思わなきゃいけない人」…結婚生活をしていく中で、そんな風に思ってた。


そんな感覚でも、私はそこに疑問も不安も寂しさもなかった。


なのに、寛也さんが現れて、その当たり前が一気に崩れてしまったんだ。
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