三羽雀
 春子はいまだに夢見心地である。
 頬をつねってみても痛い。
 その柔らかな痛覚に少女の唇の端が笑った。
 前よりも一段と見た目の良くなった清士のことが、頭から離れない。
 もしあの人の隣にいることができたらどんなに幸せだろうか、などと考える。
 長年の付き合いがある両家のことだから、きっと両親に頼めば取り次いでもらえるはずだとも思いながら、二人の未来を想像した。
 間違いなく幸せだと、その幸せをこの手で掴むのだと心に決めた。
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