三羽雀
新事実の発覚
二人の話を聞いて一番に驚いていたのは、幸枝であった。彼女は、はっとした顔で、ぽかんと開いたであろう口元を手で覆う。
「志津さんも、春子ちゃんも、いつの間に……!」
志津と春子は、ひどく驚いた様子の幸枝を前に互いに顔を合わせて笑う。
「私は彼が除隊になってからすぐ結婚したけれど、あまりにも急で、まるでどんでん返しだったわよ。あの人、私に『結婚、するか』ってこんな顔で言って、私がそれに頷いたら……ね?」
志津はある日の許嫁の硬直した表情を真似ている。
「まあ、そうだったの……突然のことだったのね。春子ちゃんは……例のかた?」
春子は目を丸くして幸枝に訊き返した。
「例のって……」
「結婚前提のお付き合いを申し込まれたって前に相談してきたじゃあないの。そのかたよ。だって、帝大生の彼は……」
幸枝の一言に三人の間の空気が凍りついたように固まる。
「……清士兄さんのこと、ご存知で?」
恐る恐るその名前を口にする春子の声はぶるぶると震えている。
幸枝は内心、しまったと思った。春子に出会ってから今この瞬間まで彼女の口から「清士」という名前や「帝大生」という身分については聞いたことがなかったのである。
どうして上手にはぐらかすか……いや、もうこの際、全て話してしまおうか。
「成田さんは相当有名だったわよ、帝大の法科生で前途有望だったし、何より……顔が良いじゃない。初めて見たときは映画俳優と見間違えそうになったくらいよ?」
「ええ、まあ……それはそうね。清士兄さんはとっても頭が良くて、優しくて、格好良かった」
「志津さんも、春子ちゃんも、いつの間に……!」
志津と春子は、ひどく驚いた様子の幸枝を前に互いに顔を合わせて笑う。
「私は彼が除隊になってからすぐ結婚したけれど、あまりにも急で、まるでどんでん返しだったわよ。あの人、私に『結婚、するか』ってこんな顔で言って、私がそれに頷いたら……ね?」
志津はある日の許嫁の硬直した表情を真似ている。
「まあ、そうだったの……突然のことだったのね。春子ちゃんは……例のかた?」
春子は目を丸くして幸枝に訊き返した。
「例のって……」
「結婚前提のお付き合いを申し込まれたって前に相談してきたじゃあないの。そのかたよ。だって、帝大生の彼は……」
幸枝の一言に三人の間の空気が凍りついたように固まる。
「……清士兄さんのこと、ご存知で?」
恐る恐るその名前を口にする春子の声はぶるぶると震えている。
幸枝は内心、しまったと思った。春子に出会ってから今この瞬間まで彼女の口から「清士」という名前や「帝大生」という身分については聞いたことがなかったのである。
どうして上手にはぐらかすか……いや、もうこの際、全て話してしまおうか。
「成田さんは相当有名だったわよ、帝大の法科生で前途有望だったし、何より……顔が良いじゃない。初めて見たときは映画俳優と見間違えそうになったくらいよ?」
「ええ、まあ……それはそうね。清士兄さんはとっても頭が良くて、優しくて、格好良かった」