涙色の死神と巫女と妖怪と
「簡単にいうと、死神は霊や悪霊を天国に導く仕事をしているんだ。主に天国で暮らしていて、霊感のない人間には見えない……僕は……いや、僕らはその死神の血を引いている」

「……だから、君たちは都に来れたわけか」

瑠依たちの近くを走る嵐猫は、前を見ながら呟く。

「ねぇ、都って何?ここのことを言うんだろうけど……何だか天国と似た雰囲気がある」

「都は、私たち妖怪が住む世界なんだ。あ、自己紹介が遅れた。私は、桜姫と言います」

いつの間にか瑠依たちの近くにいた妖怪たちは、次々に自己紹介をしていった。

コロッケと騒ぎながら火柱を上げていた火影、火影の双子の妹の水月、夜にしか力を発揮出来ない朧、雪女のお雪、お雪の妹のつらら、ナルシストな九尾の狐のキング、石でできた金次郎、イタズラ好きな一つ目小僧のひとめ、座敷童子の双子、春太郎と幸子、そして未だに瑠依の近くを走っている猫は、嵐猫と名乗った。

そして。瑠依、紫乃、菫も自己紹介をする。自己紹介が終わった後、葉月は「妖怪たちは、沙月の家で暮らしている。で、俺らは妖怪の力を借りて悪霊を退治しているんだ」と説明をする。

「……そっか……」

瑠依がそう呟くと、急に嵐猫の姿が吹き飛び、風が収まったために瑠依たちは急いで地面に着地する。
< 11 / 20 >

この作品をシェア

pagetop